はじめに
日本では交通事故による死亡者が昭和45年1万7千人を頂点に平成8年からようやく1万人を下まわりました。
車社会のドイツでも、交通事故の多さでは、日本とたいして変わらなかった時期がありました。
なんとか交通事故を減らそうと、日本もドイツもさまざまな工夫をしたのです。
日本は、交通規則を厳しくして、取り締まりに力を注ぎました。
一方、ドイツは車運転のマナーを徹底的に若者に教えたのです。
結果はどうでしょう。
日本は死亡者数は減少していますが、事故そのものの件数はあまり減っていません。
厳しい罰則の効果は大して現れません。
ところが、ドイツでは交通事故が激減したのです。
かつて、ドイツも日本と同じように敗戦の廃墟の中から、同じように工業に力を注いで復興を遂げました。
ですから、比較されることの多い国ですが、国民性は非常に異なり、その違いはいろいろなところにあらわれています。
日本では、交通事故は「なくすのではなく、取り締まるもの」として、考えられてきたのではないでしょうか。
国民を信頼して自覚をうながすのではなく、「規則を破ったら罰金ですよ」と脅かす方法がとられています。
それと同じことが、虫歯予防についてもいえます。
日本の虫歯へのとりくみは、学校検診にあらわれているように、虫歯は「なくすもの」ではなく「治療するもの」なのです。
その結果、たしかに虫歯の罹患者は減っています。
しかし、それは虫歯にならなくなったのではなく、治療済みの歯が多いということなのです。
ヨーロッパの豊かな国で、現在、虫歯になる子どもの数は激減しています。
「虫歯がなぜできるのか」
「虫歯を予防する効果的な方法はないのか」
「歯ブラシに頼っているだけでは予防できないが、どうすればよいのか」
「国民の払う大切な税金で医療費をまかなうには、どうしても虫歯をなくすことが必要だ」
このように考えたのかどうかは別にして、明らかに虫歯をなくす努力が徹底され、社会的な常識になったということでしょう。
日本が、交通事故対策と同じ失敗をくり返さないことを願わずにはいられません。






