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2012年10月 9日

インプラントを考える前に

歯は健康の根幹と言われ、日常生活に直接的に大きな役割を果たすものです。それだけに私達歯科医の責務も重いと感じます。やむをえずブリッジや入れ歯、あるいはインプラントを必要とする人には、出来るだけ美しく、よく噛める入れ歯を提供したい、そして患者様が快適な生活を送れるように願い、私達は毎日の診療にあたっています。

歯を失う原因のひとつとして、歯の根が割れてしまう「破折歯」があります。この場合は普通、抜いて入れ歯かインプラントにしなければなりません。固定式ブリッジにするには更に両隣の歯を削ることになります。そこで、できるだけ歯を保存する方法として、接着剤を用いた「再植法」があります。

根が割れた歯を接着して再植する【再植法】

再植法「再植法」とは、根が割れた歯を一旦抜いて、接着剤を用いて接着して復元してから植え直す、という治療法です。1989年に真坂信夫医師が考案しました。

健全な組織のある所にずらして戻せば骨も再生しやすく、この方法で9割の破折歯が救えるようになりました。因みにこれでもうまくいかないときは、インプラントを使うことになります。

4-META接着レジンを用いた治療

再植法で用いる「接着剤」は4-META(4-Methacryloxy ethyl trimelliate anhydride)という、歯質内部へしみ込む成分を有しています。1978年に日本で開発されて以来、その組成を変えていない唯一の接着剤で、生体との親和性が高いことが近年の数々の研究で明らかになっています。さらに、細菌の侵入を抑えたり、刺激を防いだりする働きがあり、治療後冷たい水がしみたりする症状もありません。

4-META接着レジンを使えば虫歯の再発が減り、歯の神経を極限まで残す治療が可能になりました。過去にはしみるからといって歯の神経を簡単に取ってしまう傾向があったようです。しかし、これを行うと歯の寿命が短くなります。「虫歯部分だけ取って、塗って、充填する」ため、あとの結果が良いのです。

たくさん歯を削って、詰めて、請求する、Drill・Fill・Billの歯医者さんはもう終わりにしたいと思うのです。


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