「フッ素は虫歯予防に良いらしい」 と聞いたことはあっても、実際にどのような効果があるのかわからない方も多いのではないでしょうか。
実は、フッ素はただの“予防成分”ではありません。歯を守る力を底上げしてくれる頼れる味方として、お子さまから大人まで幅広い世代の虫歯予防に役立ちます。
本コラムでは、フッ素塗布によって得られる効果や、毎日のケアにどう取り入れればよいかをわかりやすく解説します。
「フッ素って実際どうなの?」 という疑問をスッキリ解消したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
フッ素とは何か?
フッ素とは、自然界に広く存在する元素の一つで、水や土壌、食品にも微量に含まれています。
歯科で使用されるフッ素は、フッ素がほかの元素と化合した化合物(フッ化物)を指します。フッ素を歯に塗布することによって、次章で紹介するような効果が得られます。
歯にフッ素を塗布することで得られる効果
歯にフッ素を塗布すると、以下のような虫歯予防効果が得られます。
・エナメル質を強化
・初期の虫歯を修復
・虫歯菌の活動を抑制
歯の表面(歯冠部)は、エナメル質と呼ばれる非常に硬い組織で覆われていますが、酸に弱いという性質があります。
そこでフッ素を塗布することによって、エナメル質が「フルオロアパタイト」と呼ばれる、より強固な構造に変化します。これにより、酸への耐性が高まり、虫歯の進行を防ぎやすくなります。
また、初期の虫歯では、酸によって歯の表面からミネラル成分が溶け出します(脱灰)。一方、フッ素は失われたミネラルを唾液中のカルシウムやリン酸とともに補い、歯の表面を修復する「再石灰化」を促すため、初期の虫歯であれば修復できる場合もあります。
さらに、フッ素は虫歯の原因菌(ミュータンス菌など)の活動を抑制し、酸の産生を減らす働きもあります。
定期的なフッ素塗布は、虫歯のリスクを減らす有効な予防策といえるでしょう。
フッ素を効果的に活用するには?
フッ素の効果を最大限に引き出すには、日常的なセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアを組み合わせることが大切です。以下の2点を意識しましょう。
フッ素入りの歯磨き粉を正しく使う
毎日の歯磨きにおいてフッ素入りの歯磨き粉を使うことも効果的ですが、濃度に注意が必要です。一般的には、フッ素入り歯磨き粉には、1,000〜1,500ppmのフッ素が含まれ、年齢によって適切なフッ素濃度が異なります。目安は以下の通りです。
・6歳未満のお子さま:500ppm程度
・6歳以上〜成人:1,000ppm以上
また、使用量も年齢によって以下のように調整してください。
・2歳以下のお子さま:歯ブラシに1~2mm程度
・3~5歳のお子さま:歯ブラシに5mm程度
・6歳以上〜成人:歯ブラシに1.5~2cm程度
歯磨き後は、フッ素の効果を持続させるために強くうがいをしすぎず、少なめの水(5〜15ml程度)で1回軽くすすぐ程度で済ませるのがポイントです。
定期的に歯科医院でフッ素塗布を受ける
家庭でのケアに加え、定期的に歯科医院で高濃度フッ素の塗布を受けることで、虫歯予防効果がさらに高まります。特に虫歯になりやすい部位(奥歯の溝や歯と歯の間)に確実にフッ素を届けるには、専門的なケアが有効です。
日々のケアに加えて、定期的なチェックと処置を取り入れ、健康な歯を長く保ちましょう。
まとめ
フッ素は、安全性が確立された虫歯予防法です。正しく使用すれば、安全かつ効果的に虫歯を予防できます。心配な点がありましたら、ぜひ当院までご相談ください。