インプラントは天然歯に近い見た目と噛む力を実現できますが、長く快適に使い続けるためには日々のメンテナンスが欠かせないのはご存知でしょうか。
インプラント自体は虫歯にはならないものの、周囲の歯ぐきや骨にはトラブルが起こる可能性があるため、丁寧なケアが必要です。
本コラムでは、インプラントを良好な状態で維持するために重要なセルフケアと歯科医院でのプロケアについて解説します。
インプラントをできるだけ長く、快適に使うためにも、ぜひ最後までご覧ください。
インプラントのメンテナンスが重要な理由
インプラントは治療後のメンテナンスによって、寿命や快適性が左右されます。以下3つの観点からメンテナンスの重要性を理解しておきましょう。
1.インプラント周囲炎を防ぐため
インプラントの喪失につながる最大のリスクが、インプラント周囲炎です。
インプラントの歯周病とも言える炎症性疾患で、インプラント周囲にプラーク(歯垢)が蓄積することで発症します。
症状が出にくいため気付かないうちに進行し、インプラントを支える骨を溶かします。最悪の場合、インプラントを脱落させる恐ろしい疾患です。
2.インプラントを長期間にわたって使用するため
インプラントは、一般的に約10~15年にわたって使用できますが、適切なメンテナンスを続けなければ、想定よりも使用期間が短くなってしまうおそれがあります。
噛み合わせや、インプラント以外の歯の健康が維持できているかも重要になります。
日々のケアに加えて、定期的な検診と調整を受け、良好な口腔内環境を保つことが大切です。
3.口腔内全体の健康を守るため
インプラント治療後のメンテナンスは口腔内全体の健康を守ることにもつながります。
インプラントそのものは虫歯にならないものの、インプラントに付着した歯垢が原因で、周囲の天然歯が虫歯や歯周病を発症する、あるいはインプラントを埋入した部分の歯ぐきや歯槽骨が破壊されるリスクがあります。
自宅でできるインプラントのケア方法
自宅でのインプラントケアは以下3つのポイントを意識してください。
1.正しい歯磨き
インプラントのケアには、柔らかめの歯ブラシが推奨されます。一般的な毛先より細いものを選び、適度な圧力で円を描くように磨きましょう。
人工歯とアバットメントの接合部には汚れが蓄積しやすいため、歯間ブラシやデンタルフロスを用いた清掃が不可欠です。特に、インプラント専用フロスを使用すると効果的な清掃が可能になります。
2.うがい薬の活用
クロルヘキシジンなどの抗菌成分を含むうがい薬の活用も有効な方法です。朝晩の歯磨き後に使用すれば、ブラッシングでは除去できない細菌の繁殖抑制につながります。
3.生活習慣の見直し
喫煙はインプラント周囲炎のリスクを高めるため、禁煙または減煙を強く推奨します。
インプラント周囲組織の健康維持には、バランスの良い食生活を通じて、ビタミンCやカルシウムなどを十分摂取するのも大切です。
歯科医院で行うプロフェッショナルケア
インプラントを良好な状態に保つには、自宅でのケアと共に、歯科医院でのプロフェッショナルケアも必要不可欠です。
定期検診の重要性とプロフェッショナルケアの効果を理解し、インプラントの長期維持につなげてください。
1.定期検診の重要性
インプラント埋入後は3〜6か月ごとに定期検診を受けましょう。定期検診では、インプラント体周囲の骨レベル評価や、アバットメントの緩みをチェックします。
また、周囲粘膜の炎症所見や出血の有無も精査するため、早期のトラブル発見につながります。
2.専門的なクリーニング
歯科医院では、インプラント専用器具を用いた専門的クリーニングを行います。
チタン表面を傷つけない特殊なスケーラーやパウダークリーニング(エアフロー)により、セルフケアでは除去が困難なバイオフィルムや歯石を徹底除去します。
インプラントを長持ちさせるためのポイント
インプラントを長く快適に使い続けるためには、日々のセルフケアを丁寧に継続することと、定期的に歯科検診やクリーニングを受けることが必要不可欠です。
違和感や腫れなどの異常を感じた場合は速やかな受診を心がけましょう。
まとめ
インプラントは、丁寧なセルフケアと歯科医院での定期的なプロフェッショナルメンテナンスによって、長期にわたり良好な機能と快適性を維持できます。
インプラントの埋入を検討している方やメンテナンスについて詳しく知りたい方は、お気軽に当院までご相談ください。