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COLUMN

ASAHIデンタル・オフィス 歯科コラム

2026.05.28 睡眠歯科

眠りの質を高めるための睡眠歯科治療とは何か?わかりやすく解説

眠りの質を高めるための睡眠歯科治療とは何か?わかりやすく解説

「最近よく眠れない」「いびきや歯ぎしりが気になる」
このような症状は睡眠時無呼吸症候群によって引き起こさている事が多く、潜在的に940万人以上おり、自覚している人の割合は20%程度と言われております。
つまりほとんどの人は気がついておりません。

結論からお伝えすると、睡眠歯科とは“お口の状態を整えることで、眠りの質を改善する歯科治療”です。
専用のマウスピースなどを用いて、睡眠中の呼吸や顎の動きをサポートし、トラブルの改善を目指します。

睡眠歯科で対応できる主な症状は、以下のとおりです。

・いびき
・軽度〜中等度の睡眠時無呼吸症候群
・歯ぎしり・食いしばり・歯が割れる
・起床時の顎の疲れや頭痛
・日中の強い眠気やだるさ

睡眠の質は、体の回復や集中力、さらには生活習慣病のリスクにも深く関わっています。
そのため、歯科からのアプローチによって睡眠環境を整えることは、全身の健康改善にもつながる重要なケアといえます。

本コラムでは、睡眠歯科の具体的な治療内容や効果、どのような方に適しているのかを、初めての方にもわかりやすく解説します。

眠りの質を高めるための睡眠歯科治療とは何か?わかりやすく解説

睡眠歯科とは?いびきや無呼吸を歯医者で治療する新しいアプローチ

睡眠歯科とは、睡眠中に起こる呼吸の問題、特にいびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対して、歯科医師が専門的な治療を行う分野です。
睡眠中に舌や喉の筋肉が緩むと、気道が狭くなり呼吸が妨げられます。
この気道の閉塞を、患者様専用に作製した口腔内装置(マウスピース)を用いて物理的に防ぎ、スムーズな呼吸を確保するのが睡眠歯科の主なアプローチです。

歯科で睡眠の悩みが解決できる理由とは

睡眠と歯科には密接な関係があります。
特に睡眠時無呼吸症候群の多くは、寝ている間に舌の根元が喉の奥に落ち込み、空気の通り道である上気道を塞いでしまうことで発生します。

歯科では、下顎を数ミリ前方に移動させる特殊なマウスピースを作製することで、舌が落ち込むのを防ぎ、気道を物理的に広げることが可能です。
このように口腔内の構造に直接アプローチできる点が、歯科で睡眠の悩みを解決できる大きな理由です。
顎の位置や歯並びなど、口腔内の状態を専門的に診断し、最適な治療法を提案します。

睡眠中に治療が終わる静脈内鎮静法も睡眠歯科の一つ

睡眠歯科には、もう一つの側面があります。
それは、歯科治療に対する強い不安や恐怖心、嘔吐反射がある方のために、点滴によって鎮静剤を投与し、ウトウトと眠っているようなリラックスした状態で治療を行う「静脈内鎮静法」です。
この方法を用いると、患者はほとんど苦痛を感じることなく、長時間の治療や抜歯などの処置を受けられます。
治療中の記憶はほとんど残らないため、目覚めたときには治療が終わっている感覚です。
この「眠っている間の睡眠」を利用した無痛治療も、広義の睡眠歯科に含まれます。

眠りの質を高めるための睡眠歯科治療とは何か?わかりやすく解説

こんな症状はありませんか?睡眠歯科で改善が期待できるお悩み

毎晩の大きないびきや、睡眠中に呼吸が止まっていると家族から指摘されたことはないでしょうか。
また、十分な睡眠時間を確保しているはずなのに日中の眠気が取れない、朝起きると顎が疲れていたり頭痛がしたりする、といった症状も注意が必要です。
これらは、睡眠時無呼吸症候群や歯ぎしりが原因かもしれません。
睡眠歯科では、これらの症状に対して専門的な診断と治療を行い、睡眠の質を向上させることで悩みの改善が期待できます。

大きないびきや呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。
主な症状として大きないびきが挙げられ、呼吸停止によって体は深刻な酸欠状態に陥ります。
この状態が続くと、日中の強い眠気や集中力低下だけでなく、高血圧や心臓病、脳卒中といった命に関わる病気のリスクを高めることが知られています。
体に大きな負担をかけるこの症状は、歯科でのマウスピース治療によって改善が見込める場合があります。

朝起きた時の顎の疲れや頭痛は歯ぎしりが原因かも

朝目覚めたときに顎にだるさや痛みを感じたり、原因不明の頭痛や肩こりに悩まされたりする場合、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりが原因かもしれません。
無意識のうちに行われる歯ぎしりは、自分の体重以上の力で歯や顎に大きな負担をかけ、歯の摩耗や破損、顎関節症を引き起こします。
睡眠歯科では、就寝中に装着する専用のマウスピースを作製し、歯や顎へのダメージを軽減させ、関連する症状を和らげます。

眠りの質を高めるための睡眠歯科治療とは何か?わかりやすく解説

睡眠歯科の主な治療法「スリープスプリント(マウスピース)」を解説

睡眠歯科における、いびきや軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群の治療では、「スリープスプリント」と呼ばれる口腔内装置(マウスピース)が中心的な役割を果たします。
これは、スポーツ用や歯ぎしり防止用のマウスピースとは構造が異なり、睡眠中の呼吸を助けるために特別に設計された医療機器です。
歯科医院で精密な歯型を採り、患者一人ひとりの口腔内に合わせてオーダーメイドで製作されるため、高い適合性と治療効果が期待できます。

下顎を少し前に出して気道を広げる仕組み

スリープスプリントは、上の歯と下の歯にそれぞれはめ込むセパレートタイプが主流です。
この装置を装着すると、下の装置が下顎全体をわずかに前方へ突き出させた状態で固定されます。
下顎が前に出ることで、それに連動して舌の根元も前方に引き上げられ、喉の奥のスペースが広がります。
この物理的な作用により、睡眠中に舌が喉に落ち込んで気道を塞ぐのを防ぎ、空気の通り道が確保されます。

CPAP治療が続けられなかった方にも適した選択肢

中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群の標準的な治療法に、持続的気道抑圧法、CPAP(シーパップ)療法があります。
これは鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を広げる方法です。
しかし、装置が大きく持ち運びが不便な点や、マスクの圧迫感、空気の音や乾燥などが原因で治療を継続できない人も少なくありません。
また、長期使用により、肺胞の細胞にダメージを受ける副作用も考慮しなければなりません。
スリープスプリントは、そのようなCPAP治療が合わなかった方や、軽症でCPAPの適用とならない方にとって有効な選択肢となります。
治療の選択にあたっては、医科の主治医と歯科医師の連携が重要です。

眠りの質を高めるための睡眠歯科治療とは何か?わかりやすく解説

スリープスプリント治療で得られる3つのメリット

スリープスプリントによる治療は、いびきや睡眠時無呼吸症候群に悩む方にとって多くの利点があります。
この治療法は、単に睡眠中の呼吸を楽にするだけでなく、日常生活の質にも良い影響を与えます。
口腔内の健康と全身の健康は密接な関係にあり、睡眠の質を改善することは、日中の活動パフォーマンス向上にもつながります。
ここでは、主な3つのメリットについて解説します。

装着が簡単で旅行や出張先にも持ち運びやすい

スリープスプリントの大きなメリットの一つは、その手軽さです。
装置は手のひらに収まるほどコンパクトで軽量なため、保管や持ち運びが非常に簡単です。
装着も自分で簡単に行えるため、日常生活にスムーズに取り入れることが可能です。
定期的な調整のための外来通院は必要ですが、日々の利便性は非常に高いと言えます。

外科手術が不要で身体への負担が少ない

睡眠時無呼吸症候群の治療法の中には、喉や口蓋垂を切除する外科手術も存在しますが、身体への侵襲が大きく、術後の痛みや合併症のリスクも伴います。
一方、スリープスプリント治療はマウスピースを装着するだけなので、身体にメスを入れる必要が一切ありません。
そのため、身体的な負担やリスクが非常に少なく、安全性の高い治療法と言えます。
また、万が一治療が合わなかった場合でも、使用を中止すれば元の状態に戻せる可逆的な治療である点も大きなメリットです。

保険適用で治療費を抑えられる場合がある

スリープスプリント治療は、特定の条件を満たすことで健康保険が適用されます。
内科や耳鼻咽喉科などの医科で睡眠検査を受け、「睡眠時無呼吸症候群」という確定診断が出ている場合、医師からの紹介状(診療情報提供書)があれば、歯科医院でのマウスピース作製に保険が使えます。
保険適用の場合、治療費の自己負担額は3割となり、数万円程度に抑えることが可能です。
全額自己負担となる自費診療に比べて、経済的な負担を大幅に軽減できる点は大きなメリットです。

知っておきたいスリープスプリント治療の注意点

スリープスプリントは多くのメリットを持つ有効な治療法ですが、すべての人にとって万能というわけではありません。
治療を開始する前に、いくつかの注意点を理解しておくことが重要です。
装着初期の違和感や、症状の重さによっては適用できないケースもあります。
これらのデメリットを事前に把握しておくことで、より納得して治療に臨むことができ、治療後のミスマッチを防ぐことにつながります。

装着し始めは違和感や話しにくさを感じることがある

オーダーメイドのスリープスプリントであっても、初めて口の中に装着した際は、異物感や圧迫感、唾液の増加などを感じることがあります。
また、下顎を前方に固定するため、多少の話しにくさや顎の筋肉に疲労感や違和感を覚えることも少なくありません。
これらの症状は、使用を続けるうちに数日から数週間で徐々に慣れていくことがほとんどですが、痛みが続く場合や我慢できない場合は、無理せず歯科医師に相談し、装置の調整をしてもらう必要があります。

重度の睡眠時無呼吸症候群には適用できない

スリープスプリント治療が最も効果を発揮するのは、軽度から中等度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。
1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)が非常に多い重症のケースでは、マウスピースだけでは気道を十分に確保できず、効果が限定的になる可能性があります。
そのため、重症の患者にはCPAP療法が第一選択として推奨されるのが一般的です。
自身の症状がスリープスプリントの適用範囲であるかどうかは、医科での精密検査と診断に基づいて判断されます。

睡眠歯科治療にかかる費用と保険適用の詳しい条件

睡眠歯科での治療を検討する際、多くの方が気になるのが費用面でしょう。
特にスリープスプリント(マウスピース)の作製には、保険が適用される場合と、全額自己負担の自費診療となる場合があります。
どちらに該当するかによって、費用は大きく異なります。
ここでは、保険適用のための具体的な条件と、それぞれの費用目安について詳しく解説します。

保険適用でマウスピースを作成するために必要な医科の診断書

スリープスプリント作製に健康保険を適用するためには、絶対に必要な条件があります。
それは、まず内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科などの医科医療機関を受診し、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査などの精密検査を受けることです。
その結果、「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」であると確定診断される必要があります。
そして、担当の医師から歯科医院宛ての紹介状(診療情報提供書)を発行してもらうことで、初めて歯科でのマウスピース作製が保険診療として認められます。

保険適用外(自費診療)の場合の費用目安

いびきの改善のみを目的としており、睡眠時無呼吸症候群の診断が下りていない場合は、保険適用外となり自費診療となります。
また、医科からの紹介状がない場合も同様です。
自費診療の場合、費用は医療機関によって異なりますが、マウスピースの作製にかかる費用の目安は5万円~15万円程度が一般的です。
費用には、カウンセリング料や検査料、調整料などが含まれているか事前に確認することが大切です。
自費診療は費用が高額になりますが、使用できる装置の種類に制限がないなどのメリットもあります。

睡眠歯科に関するよくある質問

睡眠歯科での治療を検討するにあたり、多くの方が抱く疑問や不安があります。
ここでは、特に多く寄せられる質問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。

Q1. 歯科で作るマウスピースと市販のいびき防止グッズとの違いは何ですか?

市販品は既製品でフィット感が悪く、顎関節を痛める危険性があります。
歯科医院のものは精密な型採りから作るオーダーメイドのため、安全性と治療効果が高い点が大きな違いです。
専門医の診断のもと、個々の顎の形や症状に合わせて作製・調整されるため、効果的かつ安全に使用できます。

Q2. マウスピースを使い始めてから、どのくらいの期間で効果を実感できますか?

効果の現れ方には個人差がありますが、いびきの減少や呼吸のしやすさといった効果は、多くの場合、装着した初日から実感できます。
日中の眠気の改善などは、質の良い睡眠が続くことで、数週間から数ヶ月かけて徐々に感じられることが一般的です。まずは継続して使用することが重要です。

Q3. 毎日のお手入れは難しいですか?また、マウスピースの寿命はどのくらいですか?

お手入れは簡単で、通常は水洗いや柔らかい歯ブラシでの清掃が基本です。
汚れや臭いが気になる場合は、専用の洗浄剤を使用することが推奨されます。寿命は使用状況や歯ぎしりの有無で異なりますが、材質の劣化などを考慮すると、一般的に3〜5年程度が交換の目安です。

まとめ

睡眠歯科は、いびきや軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群、歯ぎしりといった睡眠に関する問題を、主にオーダーメイドのマウスピースを用いて治療する歯科の専門分野です。
CPAP治療が合わなかった方や、より手軽な治療を求める方にとって有効な選択肢となります。
治療には保険が適用される場合もありますが、医科での確定診断が必要です。
治療を検討する際は、日本睡眠歯科学会の認定医が在籍し、医科と連携が取れる専門のクリニックに相談することが重要です。

記事監修|ASAHIデンタル・オフィス PRIMEC 院⻑・⻭科医師 朝日 啓司

記事監修|ASAHIデンタル・オフィス PRIMEC 院⻑・⻭科医師 朝日 啓司

略歴

  • 1983年
    日本大学歯学部卒業
    東京都渋谷区「山田歯科センタークリニック」勤務
  • 1987年
    朝日歯科クリニック開設
  • 2004年
    ASAHI Dental Office PRIMECを開設

所属学会・研究会

  • 日本歯科審美学会
  • 日本接着歯学会
  • 顎咬合学会認定医
  • 日本口腔インプラント学会認定医
  • 日本成人矯正歯科学会
  • Straumann Implant University of Berne
    (Switzerland)
    (指定インプラント認定医)
  • International Congress of Oral Implantologist Dipromate
  • (インプラント専門医国際会議認定指導医)
  • デンタルコンセプト21会員
  • Speed矯正研究会
  • 日本顕微鏡歯科学会
  • 日本歯科医療開発研究会(N.D.D.S)会長
  • 日本口腔インプラント学会認定専門医(2006年取得)