歯科治療におけるインプラント技術は、近年飛躍的な進歩を遂げていますが、技術の進化と同時にリスクや注意点も潜んでいます。
安全なインプラント治療には、注意点を理解したうえで、対策を講じることが重要です。
本コラムでは、インプラント技術の進化とリスクについて、より深く掘り下げていきます。
内容を理解し納得して治療を受けたい方は、最後までご覧ください。
インプラント治療における技術の進化
インプラント治療は、それまで金やコバルトクロム合金など様々な素材が使用されていたなかで、1950年代にスウェーデンのブローネマルク博士が、チタンと骨が結合する性質(オッセオインテグレーション)を発見したことによって世界中で普及が進みました。
チタンは生体親和性が高く、骨との結合が極めて安定しているため、天然歯に近い噛み心地と高い耐久性を実現できます。現在では、さらに精度と安全性を高めるための技術革新が進み、以下のような先進的な方法が臨床現場で導入されています。
CAD/CAM技術の導入
コンピュータによる精密な口腔内のスキャン技術の導入によって、個々の患者さんに最適なインプラントを精密に設計・製作できます。
ガイデッドサージェリー
歯科用CTによる3D画像データを基に手術のシミュレーションを行い、インプラントを正確な位置に埋入するための技術です。手術中のリスク軽減とともに、術後の回復もスムーズになります。
表面処理技術の進化
インプラント体の表面に施される特殊な処理により、骨との結合がより速く、より強固に行われます。
技術の進歩は、患者さんにとって「より安心で確実な治療」を実現する重要な要素です。インプラント治療をご検討の際は、こうした先端技術を導入している歯科医院を選ぶことも一つの判断基準になるでしょう。
インプラント治療におけるリスク
技術の進化によりインプラント治療の成功率は向上しているものの、完全にリスクがなくなったわけではありません。以下のような注意点があげられます。
感染症(インプラント周囲炎)
インプラント周囲の組織に細菌が感染し、進行するとインプラント体を支える顎骨が失われることがあります。
神経損傷:特に下顎のインプラント治療において、神経に近い部位に誤って埋入してしまうと神経を損傷し、しびれや痛みなどに繋がる可能性があります。
骨量の不足による治療制限
インプラント埋入には十分な骨量や骨密度が必要です。骨量が不足している場合、治療前にGBRやサイナスリフトといった「骨造成術」を行う必要があります。
インプラントの破損
噛み合わせや食いしばりなどによる過剰な力が原因で、インプラント体や上部構造が破損することがあります。噛み合わせの調整といった処置が必要です。
これらのリスクやトラブルを回避するには、適切なインプラント治療を受けることが重要となります。
適切なインプラント治療を受けるためのポイント
より良いインプラント治療を受けるためには、以下の点を押さえておくことが重要です。
信頼できる歯科医院を選択する
「日本口腔インプラント学会認定医」といった資格の有無や症例数などを確認し、信頼性の高い歯科医院を選びましょう。
治療計画の確認
インプラント治療は歯科治療の中でも難易度が高く、費用や時間も必要なため、綿密かつ正確な治療計画が不可欠です。治療期間やリスク、費用について事前に十分な説明が受けられるかを必ず確認してください。
術後のメンテナンス
インプラントは術後のメンテナンスが寿命を左右します。定期的に歯周病や噛み合わせのチェック、プロフェッショナルクリーニングを受けることで、インプラントを長持ちさせられます。
治療前の歯科医院選びから術後の生活まで配慮することで、リスクやトラブルを最小限にできます。
まとめ
インプラント技術の進化により、多くの患者さんが失った歯の機能を取り戻せるようになりました。ただし、すべての治療にリスクは伴います。治療前に情報を正しく理解し、治療後のメンテナンスを欠かさないことが重要です。
当院では、インプラントの認定医が治療に対する疑問や不安にお答えしながら丁寧に治療を進めていきます。インプラント治療をご検討の方は、お気軽に当院までご相談ください。