「歯ぐきがちょっと赤いけど、疲れてるだけかな?」
「朝、口の中がネバつくのは寝起きだから?」
このような症状がある場合は、初期の歯周病のサインかもしれません。
歯周病は「沈黙の病気」とも呼ばれ、自覚症状が出にくいため、気づかないまま進行することもあります。放置すると歯ぐきの腫れや出血だけでなく、最終的には歯が抜けるリスクもある深刻な病気です。
本コラムでは見過ごされがちな初期症状や、自分でできるチェック方法も紹介します。歯周病を予防するために、ぜひご参考にしてください。
初期の歯周病ってどんな状態?
歯周病は、歯ぐきが赤く腫れる「歯肉炎」から始まります。初期段階では、痛みや強い違和感がほとんどなく、自覚症状に乏しいのが特徴です。
また、見た目にも大きな変化がないため、健康な歯ぐきとの違いに気づきにくく、症状が進行してから自覚するケースも少なくありません。
歯周病が進行すると歯ぐきが赤く変色したり、歯がぐらつくなどの症状が現れます。
重度になると歯を支える骨が破壊され、最終的に歯が抜け落ちる場合もあるため、早期発見・早期対応が非常に重要な病気です。
参考:日本歯科医師会「歯周病」
よくある勘違い|実は歯周病かもしれない症状とは?
歯周病は初期段階では自覚症状が少ないため、見逃されやすい病気です。しかし、単なる疲れや口の乾きと思っていても、実は歯周病が進行しているおそれがあります。
以下の症状に注意してください。
・歯磨き時に出血する
・起床時に口がネバつく
・口臭が気になる
・歯ぐきが赤くなっている
・歯ぐきがむずがゆい
・硬いものを噛んだときに違和感がある
上記は歯周病の初期サインです。普段と違うと感じた場合は、歯科医師に相談してください。
虫歯と歯周病の違いを知っておこう
虫歯と歯周病は歯科の2大疾患と呼ばれ、歯を失う原因となっています。
虫歯は、歯の表面に付着した細菌が分解して作り出す酸によって歯が溶ける病気です。主に食べ物や飲料に含まれる糖が原因で、歯に穴があき、歯髄に達すると炎症を起こし、痛みが出ます。
一方、歯周病は歯周病菌が歯ぐきの中に入り歯を支える骨に炎症が起こって最後は歯が抜けてしまう病気です。初めの頃は歯ぐきの腫れや出血、歯のぐらつきなどの症状があります。
歯周病は激しい痛みが少ないこともあるので、気づかないまま放置し、重症化するケースも珍しくありません。
自宅で簡単にできる歯周病のセルフチェック方法を紹介します。鏡を見たり、歯磨きしたりした際は、以下のポイントをチェックしましょう。
・歯の周りの歯ぐきが赤くなっていたり、腫れていたりしないか
・歯ぐきのふちが丸くなっていたり、形が左右で違っていないか
・歯磨き後に出血がないか
・デンタルフロス使用後に嫌なにおいががないか
歯ぐきの腫れ・出血・口臭は歯周病の初期症状です。気になるサインが1つでもあれば、早めに歯科医院を受診してください。
早めの対処で歯周病は防げる!
歯周病を予防するためには、毎日の丁寧なセルフケアに加え、歯科医院での定期検診とクリーニングが欠かせません。
初期段階ならセルフケアで改善する可能性も
歯周病は一度発症すると完治が難しい病気です。しかし、歯周病の初期段階である「歯肉炎」は、適切なセルフケアによって改善できる場合があります。
正しいブラッシングで歯周病の原因となるプラークを除去できれば、歯周病の悪化を防げます。ただし、セルフケアだけでは、歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)の汚れまで除去できません。口腔内の状態に合わせたケアが不可欠です。
定期検診とクリーニングで予防効果アップ
歯ブラシやデンタルフロスなどのセルフケアで除去しきれない汚れは、歯科医院で定期検診やクリーニングを受けると、歯周病の予防や早期発見につながります。
特に、専用の器具を使って歯石やバイオフィルムを除去する「PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)」は、自宅のケアでは届かない部分の清掃に効果的です。
セルフケアと専門的なケアを併用すると、歯周病の予防効果が高まります。
セルフケアと歯科医院で受けられるケアの違いについては、以下のコラムをご参考にしてください。
セルフケアに限界はある?プロフェッショナルケアとの違い
放っておかないで!その「小さなサイン」が歯を守るカギに
初期の歯周病は自覚症状がほとんどなく、見逃されやすいのが特徴です。しかし、歯磨き後に出血したり、歯ぐきがわずかに腫れるなどの些細な変化に気づければ悪化を防げます。
毎日のセルフチェックで変化を見逃さず、定期的に歯科医院でケアを受け、健康な歯ぐきを保ちましょう。
当院では、患者さんの口腔内の状態に応じた専門的なケアや治療を提供しています。歯周病への不安がある方は、ぜひご相談ください。