「歯根破折」という言葉を聞いたことがありますか?
歯ぐきの中にある歯の根っこの部分(歯根)が割れてしまうことを「歯根破折」といい、虫歯・歯周病に継ぎ、日本人が歯を失う原因の約15%とされています。
歯根が割れた場合、必ずしも治療で歯を救えるわけではありません。破折の状態や進行度合いによっては、治療が困難なケースもあります。
本コラムでは、歯根破折治療が対応できない具体的な状況や、その際に考えられる治療方法を詳しく解説します。治療の限界を知り、今後の選択肢について理解を深めていただければ幸いです。
歯根破折の治療が困難になる例を解説
歯根破折は、破折の位置や状態によって治療の難易度が大きく異なります。特に以下のようなケースでは治療が困難となり、歯を保存できない場合も少なくありません。
・複雑な破折がある
・深い位置に破折がある
・破折部分から歯根の大きさよりも大きい細菌感染が起きている
・歯質の状態が悪い(歯が残っていない)
破折の複雑さや、位置、深さは治療の成否を左右します。複雑な割れ方をしていたり、水平に割れていたりする場合は治療が難しく、破折部位から細菌が侵入し、腫れや膿が出ている場合は感染の可能性が増すため治療は困難になります。さらに、時間が経つほど感染は歯周組織や骨にまで広がり、最終的に抜歯が必要になることも少なくありません。
その他に歯の保存ができない例として、「歯質の状態が悪い」ことが挙げられます。歯に十分な厚みや幅、長さがなければ、接着剤を用いた修復が難しくなり、治療が不可能な場合があります。
歯根破折の治療で大事なポイントとは?
歯根破折を治療するうえで最も重要となるのは、早期発見と早期治療です。
歯根破折は抜歯せざるを得ないケースが多い傾向にありますが、割れ方がシンプルであれば歯を残せる可能性があります。そのためにも、早めに歯科医院を受診することが治療成功のカギとなります。
次の項目では、歯根破折の初期症状について解説しましょう。
歯根破折の初期症状
歯根破折の初期症状は下記の通りです。
・噛んだ時の違和感、軽い痛み
・知覚過敏
・歯ぐきの腫れ、炎症
・噛み合わせの悪化
・歯の変色
初期段階の歯根破折は、痛みが軽く症状が分かりにくいのが特徴です。しかし、早期に発見し適切な処置を行うことで歯を保存できる可能性が高まります。上記のような症状がある場合は、放置せずに適切な検査を受けましょう。
歯根破折の治療を行うためには、さまざまな症例パターンの知見が必要です。
歯根破折治療の経験が少ない歯科医師の場合、適切な治療が行えずに抜歯のリスクが高まってしまいます。歯根破折の治療を行う際は、症例数が豊富な歯科を選ぶと良いでしょう。
Q1:歯根破折の初期症状を教えてください。
A1:歯根破折の初期症状は、ものを噛んだ時に少し違和感があるという程度です。まれに痛みが出る場合があります。歯ぐきにニキビのようなものができたりして気付くケースもあります。また、人口歯や被せ物が取れることで発覚する場合もあります。
Q2:転倒や事故などの衝撃で歯根破折が起きる場合がありますか?
A1:ぶつかった衝撃で歯根が割れる場合があります。また、直接ぶつけていなくても、人の体は衝撃を受けた時に反射的に奥歯を強く噛みしめます。瞬間的にかかる非常に強い咬合力によって、奥歯の歯根が破折してしまう場合もあります。